「………」
「ね、ねぇ…ルーク…怒ってる?」
恐る恐る、はルークの背中に問いかけた。
「…別に怒ってなんかねーよっ」
「私、何か怒らせることした?」
拗ねた子供のような反応をするルークを、は宥める。ただ、彼が怒っている原因がわからないは途方に暮れていた。

「…別に、のせいじゃねーよ…」
そもそもの原因は、パーティー内で行なわれたポーカー勝負の罰ゲームだ。
その罰ゲームは最下位の人間が優勝者の命令を何でも聞く、というもので がジェイドの命令を聞く事になった。
命令の内容としては、リシェスがガイにペタペタの刑のをするはずだったのだが、逃げ回るガイを追いかける弾みでジェイドに抱きつく結果になってしまったのだ。
数日前にルークが告白し、それを受けてもらえたばかりだったこともあり、ルークのダメージは予想以上に大きかった。
大体、悪いのはポーカーで最下位だったでも女性恐怖症のガイでもなく、そのあたりを全部知ったうえでそんな罰ゲームを考えたジェイドが悪いのだ。頭ではわかっている、彼女がそう言う事に疎いことも。
…わかってはいるのだが。

「どうしたら許してくれるの?私に出来ることならなんでもするから…」
お前は悪くないの一点張りで理由を教えて貰えず、困り果てたは最終手段に出た。
「………。…じゃあ、俺にも抱きしめさせてくれよ」
「…え?」
唐突過ぎて、は一瞬目が点になる。それを拒否と感じたのか、ルークの表情がしゅんとしたものになる。
「駄目…なのか?」
「う、ううん。ちょっとびっくりしただけ。……いいよ?」
普段何気なく行う行為でも、改めて意識すると意外に恥ずかしい。は自分の顔が赤くなっていることを自覚した。
逆にルークはその答えに、表情を輝かせる。
「本当か!?じ、じゃあ…」
の体がふわりとルークの緊張して少し硬い動きになっている腕に包まれる。
ぎゅっとを抱き寄せたルークは照れくさそうに、そして満足そうに笑った。
ってさ、柔らかくて…あったかいのな」
「……軽くセクハラだよルーク」
ルークの温もりを感じながら、もくすりと笑った。
「狽サ、そうだよな!わ、悪ぃ///」
顔を赤くして慌てて離れるルークに、は冗談だよと笑う。
今は頼りなさそうな表情をしているが、戦闘時などは凛々しい姿を見せている彼の胸は思っていたよりも広く、居心地が良かった。
「ルークは特別に許してあげる。理由も大体分かったし。」
「な、何でわかったんだ!?」
「わかるよ!さっきと機嫌が全然違うもん」
くすくすと笑い続けながらは言う。
笑いが止まらないのは、ルークがジェイドに対して嫉妬していた、それがにはくすぐったかったから。
「…う;それ、俺が七歳だからってことか?」
「卑屈だなぁーそうとって欲しいの?」
「ち、ちげーよっ!と…ということは…?」
不安げな翆の瞳で見つめられる。
これだけ人が分かりやすく言っているのに関わらず、気づいていない。そこが可愛いところでもあるのだが。
「………全部言わせる気?少しは察してくれると助かるんですけど。」
「いや、むしろ全部言って欲しいっていうか…」
「…っ///」
一気に顔に熱が集中する。
照れながらも、言われて恥かしいことをさらりと言ってしまうルークはすごいと思う。
…本当に、これを天然でやっているのだから恐ろしい。
少しは気づいて欲しいのに。

にぶちん、心の中でも毒づいて少し意地悪をする。
「……………やだ」

あなたが私の気持ちに気付くまで
全部は言ってあげない。



*あとがき*
リハビリにお題をUPー!
ヘタレルーク笑 うちのガイは常に損な役回りになりそうです^^;
(07/10/28)