※もしVヒロインがユーリ達と同い年で病弱じゃなかったら。鋼パロです。
パロディ苦手な方は注意!
「はオレとけっこんするんだ!」
「いいや!ぼくとた!!」
帝都ザーフィアスにある下町の一角。
もはや毎日恒例となりつつある少年二人の叫び声が響く。このまま放っておけば、取っ組み合いの喧嘩になりそうな気配さえある。
2人の声を聞きつけて、これまたいつものように仲裁に入ったが木刀代わりの木の棒を振りまわしながらやってきた。
「こらー!けんかはやめなさいっていつも言ってるでしょ!?」
「!」
「ちょうどいいところに来たな、!」
「な、なによ…」
本人に決めてもらおう!という実に子供らしい結論に至った二人は、話題の中心人物である少女に一部始終を話した。
話を聞いた少女の顔が、見る見るうちに赤くなっていく。
「…だ、だめ!」
「なんだよ、オレたちじゃふまんなのかよ?」
「ふまん、ってわけじゃないけど…」
「じゃあ、どうしてだめなんだい?」
期待のまなざしを向ける二対の瞳に困惑しながら、はたった今必死に考えた言い訳を口にした。
「えーと、わ、わたしより背が低いおとこはいや!」
「「………」」
が出した予想外の条件に、少年2人は固まってしまう。
同い年の彼らの身長はそれほど大きな差がないユーリとフレンと比べ、のほうが握り拳ふたつ分くらいの差があった。
先に硬直から抜け出したフレンが、おずおずと確認してきた。
「より…背が高くなれば…いいのかい?」
「か、かんがえてあげてもいいわ」
「よーし、約束だからな!!」
…あれから11年。
久しぶりに、3人が顔を合わせ、夕食を共にしている。近況を報告しあった後は、必然的に昔話に花が咲いた。
食事を一通り食べ終わり、食後のまったりとした時間が流れる頃。一騒動起こる話題を最初に口にしたのはフレンだった。
「そういえば…昔、僕とユーリのどちらが君をお嫁さんにするかで喧嘩したことがあったよね」
「あー!あったね〜懐かしい」
「ま、お前の身長はあっさり抜けたけどな」
「…そうね、腹が立つくらい伸びたものね」
頭をポンポンと撫でるユーリを恨めしげに見上げては言った。
に伸ばしていた腕を鬱陶しげに押し戻されて、笑いながら薄めに割った果実酒を飲みながらユーリは呟いた。
「あの頃は俺のほうが絶対でかくなると思ってたんだがなぁ…」
「それは僕だって同じだよ。…まさか同じ身長になるとは思わなかったからね」
「え、その頃になっても競ってたの!?」
空になったワイングラスをテーブルに置いて反論したフレンの一言には驚いた。
の驚きの声に一度は顔を見合わせる2人だったが、に向き直ると一方は爽やかに笑い、もう一方は妖艶な笑みを浮かべる。
「もちろん」
「…現在進行形で、な」
「…え?」
ユーリの一言に、雲行きが怪しくなってきたことに気付いたが席を立つ。後追って、2人も席から立ち上がった。
「え?…え?」
詰めよる2人に比例して後ずさるだが、窓際まで追い詰められて逃げ場を失う。
慌てたが声をあげた頃には、2人は手を伸ばせば届く距離までに近づいていた。
「ちょ、ちょっと待って…ふ、2人とも…酔ってるの!?」
「、僕が酔ったところ見たことある?」
「…ナイデス」
「俺は多少酔ってるかもなぁ?けど、今日は大した量飲んでないしな」
「…そうだね…」
2人のお酒事情は知っている。2人とも今日は酔っぱらうほど飲んでいるわけではないが、予想外の出来事に混乱して思わず口にしてしまったのだ。
「俺達が諦め悪いのは、お前が一番知ってるだろ?」
「う…」
制止を試みるの言葉を無視して、ユーリの手はの肩にかかる髪を一房すくい上げた。
ユーリの言うとおりなのでは唸ることしかできない。意固地というか頑固と言うか…「こうだ」と決めたら譲らない。幼馴染として20年近く一緒にいる二人だ。彼らの性格は知り尽くしていると言ってもいい。
しかし、まさかあんな昔の喧嘩を今も引きずっているとは思わなかったのが、の敗因だった。
ユーリに対抗するように、今度はフレンがの手を取り、口づけを落とす。
「あの時出された条件は、君よりも背が高いこと。これは2人ともクリアしてる」
「あぅ……」
私の馬鹿…!
は当時の自分の考えの甘さに内心頭を抱えるしかない。
子供の頃は、男女で身長の伸びやすい年齢が違うことなど知る由もなく、ずっとあのまま成長していくのだろうと思っていた。
しかし、時の流れは残酷で、成長期を迎えた彼らはあっさりとを追い抜いてしまった。
これはあの時咄嗟に嘘をついた自分への罰なのかもしれない、とは思う。別に自分より身長が低いからお嫁に行きたくなかった訳ではなかった。
……2人とも大好きな相手だったから、決められなかった。ただそれだけだった。
そして、それは今でも変わらない。
幼馴染としても、異性としてみても2人とも素敵だと思う。但し、異性として見た場合は多少の差異は生まれる。…これを恋と呼んでいいものなのか、には判断できなかった。
だからこそ、今までは幼馴染としての振る舞いを続けてきたのだ。
「ここはやっぱり、お前じゃないと決められないな」
「そうだね」
「なんでそうなるの…」
「お前絡みになると、フレンは容赦ないんだよ。なかなか勝負が決まらなくてな」
「それはお互い様だろ。それに、君の気持も大切にしたいんだ」
「だったら今じゃなくても――」
「」 「」
「は…はい」
この好機を逃すか、と言わんばかりに2人に名前を呼ばれて堅い返事を返す。前回のような逃げは許されない。
あの日と同じように、紫と蒼の瞳に射抜かれて鼓動が速くなる。
「俺と結婚するよな?」
「…僕と結婚してくれませんか」
*あとがき*
逆トライアングラー(男女逆転的な意味で)
恋人すっとばして結婚なのかよ。と言いたいところですが子供の喧嘩の延長なので極端です(笑)
20歳越えの食事会なのでお酒飲ませてみた。ユーリは公式で下戸設定なので甘めのサワーとかカクテルとか好きそう。逆にフレンは正反対で酒豪設定にしてみました。強い酒でも顔色変えずに飲んでそう。でも酒好きという訳でもないから騎士団の飲み会以外はそんなに飲まない…みたいな。
@ユーリ選択Ver
勝ち誇った表情で、ユーリが笑う。ユーリがこれ程喜びを表へ出すことはあまりない。決着がつくまでに時間がかかっただけに、嬉しさも一塩なのだろうか。
「…勝負あったな」
「フレン、ごめんね…」
「が決めたことなら、僕は何も言わないよ。」
申し訳なさそうに眉を下げるにフレンは微笑み、ユーリに向き直ると真剣な眼差しに変わった。
「但し、彼女を泣かせるような真似をしたら…許さない」
「わぁかってるよ。任せとけって」
@フレン選択Ver
「…ありがとう、僕を選んでくれて。」
「これからもよろしくね、フレン。…ユーリ…」
嬉しさや恥ずかしさが入り混じった複雑な心境のままフレンの礼に言葉を返してから、隣に佇むユーリを見つめた。
「ははっ何泣きそうな顔してんだよ」
「これからも…仲良くしてくれる?」
「当たり前だろ?そういう恨みっこはナシだ」
「…ん、よかった…」
選んだ先の不安が消えて、安堵から流れた涙をフレンが拭う。「早速泣かせてんじゃねーか」とユーリのからかい言葉にフレンが怒り、が仲裁する。先ほどまでのやりとりが嘘のように、いつも通りの光景がどうしようもなく嬉しくなっただった。